ファーゴ : Fargo (1996)

雪深いアメリカの田舎町を舞台に、ほんの手違いで単純な偽装誘拐から血生臭い殺人へと発展していく犯罪事件の顛末を描いた異色作。多彩な登場人物が織り成す、滑稽で哀しい事件を通した逆説的な人間讃歌が、えも言われぬ味わいを醸し出す。監督・脚本はイーサン・コーエン、製作・脚本はジョエル・コーエンのコーエン兄弟で、彼らの第6作に当たる。スタイリッシュな犯罪ドラマというジャンル、舞台が彼らの故郷である米中西部という2点から、前作「未来は今」から一転、兄弟が原点回帰を目指した作品といえる。第49回カンヌ国際映画祭最優秀監督賞受賞。96年度キネマ旬報外国映画ベストテン第4位。

出演:フランセス・マクドーマンド(1996年度アカデミー主演女優賞を受賞)、スティーヴ・ブシェーミ、ウィリアム・H・メイシー、ピーター・ストーメア、ハーヴ・プレスネルほか。

ファーゴ : Fargo (1996)のあらすじ

1987年冬。ミネソタ州の自動車ディーラー、ジェリー・ランガード(ウィリアム・H・メイシー)は多額の借金を負い、早急に大金を必要としていた。彼は妻ジーン(クリスティン・ルドリュード)を偽装誘拐して、自動車業界の大物である妻の父親ウェイド(ハーヴ・プレスネル)から身代金を引き出し、借金返済に回そうとしていた。

ジェリーは整備工場で働く元囚人から2人の男を紹介してもらい、ノース・ダコタ州ファーゴへ向かった。神経質に喋り通しの変な顔の男カール(スティーヴ・ブシェーミ)と一言も喋らない凶暴そうな大男グリムスラッド(ピーター・ストーメア)は、誘拐の実行を約束する。ジェリーは義父と彼の財政顧問に駐車場を作るという提案をしており、そのための借金を申し込んでいた。だが、義父が彼に大金を投資するわけがなく、そこで考えた最後の手段が偽装誘拐計画だった。

ところが、自宅に帰ったジェリーに義父は、新事業の打ち合わせをしようと言う。慌てたジェリーは2人組に連絡を取ろうとするが、彼らはつかまらない。とりあえず打ち合わせに行くが、義父たちは無能なジェリーに投資する気はなく、自分たちで事業化して手数料を彼に払うつもりだった。ショックを受けるジェリーは、雪に埋もれた駐車場で怒りを爆発させる。

一方、カールとグリムスラッドは白昼堂々、誘拐を決行。しかし、隣町ブレイナードへ逃走中、グリムスラッドはパトロール中の警官と目撃者をあっけなく殺してしまう。しかも、彼らは人目につきそうなトラック停留所に立ち寄ったり、通りすがりの女たちと寝たりと、ずさんなことこの上ない。

翌朝、ブレイナードの女性警察署長で出産を控えているマージ・ガンダーソン(フランセス・マクドーマンド)が殺人事件の捜査に乗り出した。彼女は残された証拠を一つ一つ洗い、ついに犯人が乗っていた車からジェリーにたどり着いた。彼は予期せぬマージの出現に動揺し、その場は何とかごまかすが、逆に彼女に不信感を抱かせる。身代金の受け渡しの時間が来て、ジェリーは自分で金を運ぶと主張するが、彼を全く信用していない義父は自ら運ぶと押し切る。ジェリーの計画は完全に狂い、受け渡しももつれて、カールは義父を射殺する。

カールは何とか湖畔の隠れ家に逃げ戻るが、短気なグリムスラッドはジーンを殴り殺してしまっていた。一方、マージの追求はさらに激しくジェリーに向かうが、それを知った彼は逃亡する。マージは2人組の隠れ家を探し当てるが、そこではグリムスラッドが仲間割れして殺したカールの死体を、除雪機械に突っ込んで処理していた。マージはグリムスラッドを逮捕し、間もなくジェリーも捕まった。「なぜ、こんな事件が……」と暗鬱な気持ちになったマージが帰宅すると、画家の夫ノーム(ジョン・キャロル・リンチ)が3セント切手に自分の画が採用されたと告げ、彼らは小さな幸せを感じるのだった。

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